
「ビーントゥバー」という言葉を聞いたことがあっても、実際に何が違うのかわからない方は多いと思います。市販のチョコレートとの違いは、製造の出発点にあります。カカオ豆から自分で焙煎し、砕いて、精錬して板チョコレートにする。その工程を一貫して行うのがビーントゥバーです。
01 カカオ豆が届いてから最初にすること
届いたカカオ豆はまず目視で確認します。カビのある豆、割れた豆、虫食いの豆を取り除く作業です。地味ですが、ここで品質の基準が決まります。状態の悪い豆が多いロットは、その年の製造量が減ることもあります。
選別が終わったら、小型のロースターで焙煎します。温度と時間は豆の産地と収穫年によって変えます。同じペルー産でも、昨年と今年では最適な温度が違うことがあります。焙煎後は豆を割ってカカオニブを取り出し、外皮(ハスク)を除去します。
02 精錬にかかる時間
カカオニブを砂糖と一緒にメランジャー(石臼式の精錬機)に入れ、長時間かけて粒子を細かくしていきます。Script Nestでは最低48時間精錬しています。時間が短いと粒子が粗く、舌にざらつきが残ります。
精錬中はチョコレートの温度が上がるため、室温管理が重要です。夏場は特に気を使います。精錬が終わったら、テンパリング(温度調整)を行い、型に流し込んで固めます。テンパリングが適切でないと、チョコレートの表面に白い筋(ブルーム)が出ます。
03 新潟の気候と製造の関係
新潟は冬に湿度が高く、チョコレートの保管と製造に注意が必要です。湿度が高いとテンパリングが難しくなり、表面が曇りやすくなります。一方、冬の低温は生チョコレートの製造に適しています。
気温が15度を下回る時期にしか生チョコレートを作らないのは、輸送中の品質を保つためでもあります。生チョコレートは板チョコより水分が多く、温度変化に弱いです。新潟の秋冬の気候は、この点で製造に向いています。
ビーントゥバーの製造は、工程の多さよりも、毎回の判断の積み重ねで成り立っています。豆の状態、気温、精錬時間。どれか一つが変わると、仕上がりが変わります。