
チョコレートを型に流し込む前に行う「テンパリング」は、仕上がりの光沢と食感を決める工程です。この工程を省くと、チョコレートは固まっても表面が曇り、口溶けが悪くなります。
01 カカオバターの結晶
チョコレートの主成分の一つであるカカオバターは、温度によって異なる結晶構造を取ります。結晶の種類はI型からVI型まであり、チョコレートとして適切な状態はV型の結晶です。テンパリングは、このV型の結晶を安定して作るための温度操作です。
テンパリングの手順は、チョコレートを一度完全に溶かし(約50度)、冷やして(約27度)、再び少し温める(約31度)というものです。この温度の上げ下げによって、V型の結晶核が形成されます。
02 テンパリングが失敗するとどうなるか
テンパリングが不十分だと、固まったチョコレートの表面に白い筋(ファットブルーム)が出ます。食べられますが、見た目と食感が変わります。また、口溶けが悪くなり、カカオの風味が出にくくなります。
Script Nestでは大理石の台を使った手作業のテンパリングを行っています。機械的なテンパリングマシンは使っていません。気温と湿度によって結果が変わるため、毎回の判断が必要です。新潟の冬は乾燥しているため、テンパリングの条件が安定しやすい季節です。
03 季節による違い
夏場は室温が高く、テンパリング後のチョコレートが固まりにくくなります。冷却に時間がかかり、その間に結晶構造が乱れることがあります。これが、夏場に製造の一部を制限している理由の一つです。
秋から冬にかけては室温が下がり、テンパリングの条件が整いやすくなります。生チョコレートの製造を秋冬に限定しているのも、この季節の製造環境の安定と関係しています。
テンパリングは毎回同じ結果になるとは限りません。気温、湿度、チョコレートの状態。それらを見ながら調整するのが、製造の実際の作業です。